かぼす
動かなくなってしまった車のエンジン部にかぼすの絞り汁を流し込むと、うんともすんともいわなかったそれが動き出した。すりおろしたかぼすを傷口に塗り込むと、みるみるうちに傷が癒えていった。輪切りにしたかぼすを自動販売機の硬貨投入口にいれるとジュースが買えた。
という夢の話をしたら、隣から笑い声が聞こえてきた。
黒くコントラストの高い風景と、暑くもないのに服が湿気を帯びてくるほどの空気。何かから逃げているぼくは必死だったんだ。逃げ切ったと思って一息吐いて、ジュースを買って飲んでたんだ。追っ手に空き缶を投げつけたところで、ぼくは現実に引き戻された。