Nov17th 2008 10:01

言葉は無かった

よく晴れた日。暑くも寒くもなくて、春だったり秋だったりするんだろう。

駅があって、大きな券売機があって、ホームの向こうには小さな踏切が見える。券売機はクリーム色で僕がみたことのないものだった。僕の隣には伯母がいて、その伯母はその券売機で何か操作をし、券売機の奥の暗い通りを進んでいった。伯母は僕に何も告げず、振り返ることもせず、僕はそこに取り残された。券売機の前に。
僕はその券売機がひどく恐ろしいものに感じていた。目の前にあるにも拘らず、重要であろう部分を直視できなかった。重要であろう部分は黒くぼやけた印象にしかならなかった。そして、僕はそこから踵を返し、逃げた。

屋根の低い建物ばかりが軒を連ねた通りを抜けると、そこは街だった。背の高いビルと大きな銀色の歩道橋。植え込みには黄色のゴミ袋が押し込まれ、ビールの空き缶とタバコの吸い殻がちらほら見えた。たくさんの人がものすごいスピードで行き来している。走っているわけでもないのに僕の目には残像すら見えた。ごうごうと音もうるさい。なにか大きな機械の音かもしれない。僕は歩道に停められた自転車に足を何度もぶつけながらどこかに向かっていた。多分、行くあてがあったのだと思う。混乱はしていたが、迷ってはいなかったから。辺りを見回すようなこともなく、ただだらだらと歩いていた。向かっていた。

どれくらい歩いたのか、辺りはもうオレンジ色になって、すこし気温も下がってきていた。たくさん歩いたのだろう。でも僕はまだ歩いていた。自転車が気になるのか下を向いたまま歩いていたが、ふと前を向くと、そこに僕が知っている人がいた。その人が黒い服を着ているのははじめて見たのかもしれない。すこし違和感を感じた。それでもやっぱりその人は僕の知っている人だった。陽が落ちてきたせいか、顔はよく見えなかった。その人は僕に気がついてこっちに向かって来た。まだ顔はよく見えない。僕の記憶と違って、身長がやけに低い。この人はスカートなんか穿いたっけ?この人は大きなバッグなんて嫌いなんじゃなかった?違う人なのかもしれない。でもその人は恐らく僕のことを知っていて、呆然と立つ僕に寄ってきて僕の隣に立った。僕はその人の手を握った。思いの外、その手は温かくて僕は驚いた。そして、なぜ手を繋いだのかわからなくて、気恥ずかしくなってその手を離した。混乱で泣いてしまいそうな気分だった。

という夢を見た。いつの間にか眠ってしまっていた。パソコンのバッテリーが空になって電源が落ちていた。くしゃみが立て続けに何度も出る。風邪をひいてしまったのかもしれない。

Nov9th 2008 01:42

かぼす

動かなくなってしまった車のエンジン部にかぼすの絞り汁を流し込むと、うんともすんともいわなかったそれが動き出した。すりおろしたかぼすを傷口に塗り込むと、みるみるうちに傷が癒えていった。輪切りにしたかぼすを自動販売機の硬貨投入口にいれるとジュースが買えた。

という夢の話をしたら、隣から笑い声が聞こえてきた。

黒くコントラストの高い風景と、暑くもないのに服が湿気を帯びてくるほどの空気。何かから逃げているぼくは必死だったんだ。逃げ切ったと思って一息吐いて、ジュースを買って飲んでたんだ。追っ手に空き缶を投げつけたところで、ぼくは現実に引き戻された。

Jul30th 2008 03:05

悲しいわがまま

昨日みた夢の内容が思い出せない。知っている男のひとと女のひとがいた、ということしか思い出せない。朝の雨に流されてしまったのかもしれない。そんなわけはない。覚えておきたい夢だったはずなんだ。
昔やったようにメモしておけばよかったのに、ぼくは目を開いて雨音に聴き入っていた。たぶん、雨音のほうが重要だと判断したんだろう。寝起きのぼくは。
優先順位はいつも不安定で、瞬きのあいだにもころころと入れ替わる。一番大切なことだって、いつも最重要項というわけではなくて、平均するとまぁ一番上にあるんじゃないかな、くらいのものなんだろう。
ぼくの大切な夢は、雨音にあっさり上位を譲ってしまった。寒いくらいの涼しい今朝だった。

ぼくにもあなたと同じように「言えないこと」「言わないこと」がたくさんあって、その内のひとつをつい先日はじめて口に出した。ぼくがあたまのなかで何度も言ったその言葉は、ぼくが口に出すとやっぱりなんだか緩んだ言葉になった。口に出すまでは粗暴で悲壮な言葉だったのに。
ぼくはその言葉に縛られて生きている。もうずっと10年以上20年未満。何をしているときでもいつもふっと浮かんでくる。そしてぼくは泣いたり笑ったりしている。
その言葉がなかったら少しは違っていたんだろう。あなたには会わなかったかもしれない。でも、たぶん、ぼくが泣いたり笑ったりしているのは変わらないと思う。ほんの少しの差でしかない。
そんなもんだよなと思って、ぼくはまた肩の荷を勝手に降ろした。

wyolicaの悲しいわがまま(One Love Ninety Nine)がiTunesStoreに無くて、すごく残念。CD探すの面倒くさい。